「自閉さん、それぞれのサバイバル法」 おすすめ度:
投稿日:2006-11-13
今回の「自閉っ子」シリーズはNPO法人「それいゆ」の代表、服巻智子女史をナビゲーターとし、自立に向けてがんばっている、もしくは自立し、不具合を感じつつも社会に適応している三人の自閉者たちのインタビューが収録されている。
まず、花風社の著書ではニキリンコ女史と並んで登場率の高い藤家寛子さん。
彼女の成長振りと一人暮らしでの失敗談には参考になる。個人的には章末にて浅見女史に今まで食べられなかったお肉が食べられるようになったことを話す彼女にうれしくなった。
次に、小学校の教諭をしている風花さきさん。
感覚過敏の苦しみ、離婚、シングルマザー、大病と紆余曲折あった生育歴、コミュニケーションを必要とする職場での苦しみ、それでも教師としてがんばる彼女のインタビューを教師の質が問われる教育界のお偉方に読ませてあげたい。二度目のだんな様と飼育しているねずみたちと穏やかな暮らしを得つつある彼女に幸あれと願う。
最後は「マイ・フェアリー・ハート」の著者で自閉当事者ウェブリングの管理人、成澤達哉氏。
自閉のこだわりといえば仕方ないのかもしれないが、インタビューの中に自閉者の特徴を決め付けるような言い方を端々に感じてそれが少し不快だった。
だがそのこだわりが今日の彼を支えているのだろう。そう感じた。
特筆すべきは前の職場の上司への憤りを引きずる成澤氏に服巻女史と浅見女史が忠告した言葉。
彼女たちの言葉はアスペルガー特有の長期記憶ゆえか過去の怒りを現在進行形で引きずる私にも考えさせられ、ずしりとくるものであった。
発達障害支援法に自立支援法と先の見えない自閉者。
この本は人によって程度の差はあるがきっと、自閉者が生きていくための指南本としては役に立つだろう。インタビューされた三方への希望をこめて星5つ。